最終更新:ID:JhrMxmNYcQ 2018年03月23日(金) 22:15:55履歴
職員室前の折りたたみ式の長テーブル、クラス毎の提出物などがまとめられているその脇に、一つ趣の違う空箱が投票箱のような顔で鎮座ましましていた。
腹には手書きの楷書体で大きく三文字、「外出届」
「フフ…。さあ、次の土日は何処に行ってやろうか!」
そのボックスに一枚の紙キレを叩きこみ、不適に笑うこの男。
彼が通う北英偉高校は寮制であり、休日に街へ外出するには、届出が必要とされる――
――そう、これは、北英偉の誇る成績優良児・流星蛍のとある一日外出の記録である!
北英偉高校新一年生、流星蛍は北海道出身。中学の頃は広い大地を活動的び走り回って過ごしてきた。
そんな彼にとって、ずっと学寮生活というのは酷く窮屈に他ならない!
よって彼は一週間に一度、かならず申請して外部に進出することにしていたのだった。
時系列は一年の一週目……つまり、流星蛍にとって初めての外出。
今日はお試し感覚で、内容欄にはただ「散策」とだけ書いて提出し、学校南の英偉市に下ってきた!
時刻はお昼時ーー
「そろそろ小腹がすいて来たなぁ…。どこかに入ろっと!」
そう一人ごちると、流星は最寄のコンビニに立ち寄り……街のグルメ特集本を手に取った!
そう、流星は極度の機械オンチである。つまり、文明の利器、“ぐるなび“を使うことができない……!
しかも「せっかく外に来たのだから」と、どうせ味の違いなど分からない貧乏舌にも関わらず、評価の高い店に行きたがる庶民の思考。
これが流星蛍…!
「……へぇ。個性の“攪拌”によって生み出された新感覚のオムライス…! 美味しそうだなぁ…!」
……。
……しかし流星蛍、これをスルー…!
何故なら一皿税抜き1200円。暴利…!
一番シンプルなオムライスでこの有様! 他のメニューの値段など、考えるまでもない!
仕送りが殆ど無く、毎年のお年玉貯金を切り崩しながら日々を生きている流星蛍にとって、昼食で800円以上の支出など論外…!
「…高い…高い…! 高すぎる…! 無いのか!? 3桁…!」
もはや、最初のオムライスが生易しくなるほど暴力的な値段のラインナップ…!
本になる程の名店良店。4桁はもはや基本…! 5桁が飛び出した時点で流星はそっと本を閉じた。
気を取り直して隣のラーメン特集に手を移す流星。失敗はすぐに取り返す!
それが流星蛍…!
こちらは、先程と打って変わって3桁の学生向けの値段が並んでいた!。流石ラーメン! 流星は庶民の味方に深く敬意を評した。
「ふんふん…。この店、ここから近いな! よし、ここにしよっと!」
そうと決まればすぐに移動。コンビニで10円ガムを一個買い、退出…! 決して冷やかしはしない。
それが流星蛍…!
数分歩くと、すぐにその店は見えて来た。
魚介系の濃厚な香りが店外まで広がり、待ち人を騒つかせる。やや古びた面持ちは如何にも老舗の名店といった感じだ。
そして流星はその店の前で立ち止まり……。
……しかし流星蛍、これをスルー…!
理由は、行列…!
本に載るような店で値段も安けりゃそりゃそうだろ!
流星の個性は“加速”…! 兵は拙速を尊ぶ!
待ち時間の長い、長い行列はノーセンキュー! 流星は静かに店の前を通り過ぎた。
「どうしよう、完全に破綻しちゃったよ…!」
「お腹すいたなぁ。どうしよ、もうそろそろ昼食営業の店は閉まり始めるよ!」
空腹を腕で抱え、そんなことをうめきながらふと、流星が隣を見ると……煉瓦造りの、いかにもといった洋食店がそびえていた。
流星は、気づく。その店名には見覚えがあった。
――そう、最初に見たオムライスの店だ!
「いや、でもここはダメだね。値段が……。ん?」
店外に見せ付ける食品サンプルと値札の列に、流星は一つ気になるものを見つけた。
優秀故の気付き! ある一行を、流星蛍の眼光は見逃しはしなかった!
『おこさまオムライスセット 780円』
「…………!」
その時流星に電源走る――!
「いける!? いや、しかし年齢詐称は……!」
「いや、年齢制限は別に書いてない……!だいたい、高校生なんてまだ“おこさま”だよ…!」
「そしてボクの体躯なら、何の疑いも持たれることなくこれを注文することができる…! これは、行ける!!」
決定! 身長120cm流星蛍は元気に扉を開け放った!
しかし流星蛍、これをスルー!!
個性“加速“発動!! 開けかけた扉を強制終了(シャットダウン)!!
扉の隙間から見えた異次元からの刺客、クラスメート!
普段の古風な喋り方を投げ捨てて完全にオフでお子様ランチを注文する姿など見られるわけには行けない! 流星蛍は脱兎の如く逃げ出した。
「やっぱり…マックのチーズバーガーは最高だよね!」
こうして流星蛍の高校生活初外食は、チェーン店のジャンクフードで落ち着いたのだった。
腹には手書きの楷書体で大きく三文字、「外出届」
「フフ…。さあ、次の土日は何処に行ってやろうか!」
そのボックスに一枚の紙キレを叩きこみ、不適に笑うこの男。
彼が通う北英偉高校は寮制であり、休日に街へ外出するには、届出が必要とされる――
――そう、これは、北英偉の誇る成績優良児・流星蛍のとある一日外出の記録である!
北英偉高校新一年生、流星蛍は北海道出身。中学の頃は広い大地を活動的び走り回って過ごしてきた。
そんな彼にとって、ずっと学寮生活というのは酷く窮屈に他ならない!
よって彼は一週間に一度、かならず申請して外部に進出することにしていたのだった。
時系列は一年の一週目……つまり、流星蛍にとって初めての外出。
今日はお試し感覚で、内容欄にはただ「散策」とだけ書いて提出し、学校南の英偉市に下ってきた!
時刻はお昼時ーー
「そろそろ小腹がすいて来たなぁ…。どこかに入ろっと!」
そう一人ごちると、流星は最寄のコンビニに立ち寄り……街のグルメ特集本を手に取った!
そう、流星は極度の機械オンチである。つまり、文明の利器、“ぐるなび“を使うことができない……!
しかも「せっかく外に来たのだから」と、どうせ味の違いなど分からない貧乏舌にも関わらず、評価の高い店に行きたがる庶民の思考。
これが流星蛍…!
「……へぇ。個性の“攪拌”によって生み出された新感覚のオムライス…! 美味しそうだなぁ…!」
……。
……しかし流星蛍、これをスルー…!
何故なら一皿税抜き1200円。暴利…!
一番シンプルなオムライスでこの有様! 他のメニューの値段など、考えるまでもない!
仕送りが殆ど無く、毎年のお年玉貯金を切り崩しながら日々を生きている流星蛍にとって、昼食で800円以上の支出など論外…!
「…高い…高い…! 高すぎる…! 無いのか!? 3桁…!」
もはや、最初のオムライスが生易しくなるほど暴力的な値段のラインナップ…!
本になる程の名店良店。4桁はもはや基本…! 5桁が飛び出した時点で流星はそっと本を閉じた。
気を取り直して隣のラーメン特集に手を移す流星。失敗はすぐに取り返す!
それが流星蛍…!
こちらは、先程と打って変わって3桁の学生向けの値段が並んでいた!。流石ラーメン! 流星は庶民の味方に深く敬意を評した。
「ふんふん…。この店、ここから近いな! よし、ここにしよっと!」
そうと決まればすぐに移動。コンビニで10円ガムを一個買い、退出…! 決して冷やかしはしない。
それが流星蛍…!
数分歩くと、すぐにその店は見えて来た。
魚介系の濃厚な香りが店外まで広がり、待ち人を騒つかせる。やや古びた面持ちは如何にも老舗の名店といった感じだ。
そして流星はその店の前で立ち止まり……。
……しかし流星蛍、これをスルー…!
理由は、行列…!
本に載るような店で値段も安けりゃそりゃそうだろ!
流星の個性は“加速”…! 兵は拙速を尊ぶ!
待ち時間の長い、長い行列はノーセンキュー! 流星は静かに店の前を通り過ぎた。
「どうしよう、完全に破綻しちゃったよ…!」
「お腹すいたなぁ。どうしよ、もうそろそろ昼食営業の店は閉まり始めるよ!」
空腹を腕で抱え、そんなことをうめきながらふと、流星が隣を見ると……煉瓦造りの、いかにもといった洋食店がそびえていた。
流星は、気づく。その店名には見覚えがあった。
――そう、最初に見たオムライスの店だ!
「いや、でもここはダメだね。値段が……。ん?」
店外に見せ付ける食品サンプルと値札の列に、流星は一つ気になるものを見つけた。
優秀故の気付き! ある一行を、流星蛍の眼光は見逃しはしなかった!
『おこさまオムライスセット 780円』
「…………!」
その時流星に電源走る――!
「いける!? いや、しかし年齢詐称は……!」
「いや、年齢制限は別に書いてない……!だいたい、高校生なんてまだ“おこさま”だよ…!」
「そしてボクの体躯なら、何の疑いも持たれることなくこれを注文することができる…! これは、行ける!!」
決定! 身長120cm流星蛍は元気に扉を開け放った!
しかし流星蛍、これをスルー!!
個性“加速“発動!! 開けかけた扉を強制終了(シャットダウン)!!
扉の隙間から見えた異次元からの刺客、クラスメート!
普段の古風な喋り方を投げ捨てて完全にオフでお子様ランチを注文する姿など見られるわけには行けない! 流星蛍は脱兎の如く逃げ出した。
「やっぱり…マックのチーズバーガーは最高だよね!」
こうして流星蛍の高校生活初外食は、チェーン店のジャンクフードで落ち着いたのだった。
コメントをかく