※僕のヒーローアカデミア原作のRPやる夫スレです※


 それは体育祭の振替休日のことである。その日、前庭進はすごく暇だった。
どのくらい暇かというと自室で一人ポテチを片手にぼんやりと雄英体育祭を見ているくらい暇を持て余していた。
気づいたら友人たちは街に出かけていたり実家に帰っていたり。
数日前から遊びに誘うなどのスタートダッシュを見事にサボタージュしたせいである。

「あ゛あ゛ぁ〜〜。暇だ。超暇だ。…コンソメ味うめぇ」

暇なら勉強すればいいのには禁句である。休みなのに何が悲しくて勉強しなければならないのか。


 暇を潰すために見ている体育祭だが一つの競技を終えて今はCMタイム。次の競技が始まるまでは何も面白いものはないというわけである。
何度も見たことがあるCMを放送が再開されるまでぼんやりと見ていく。

『ベストジーニストも愛用!これが最強のワックスだ……!』

『これであなたの髪もサラサラに。"Lady Hair"』

そこに出てくるのは人気ヒーロー達。彼らの名前とともに押し出される商品。彼らの姿とともに紹介されていく商品。それを見ながらふと思う。

「……プロになったらこんな仕事も来るようになんのかねぇ。こういう風に名前をテレビに使われて。」

そういやこれ本名じゃなくてヒーローネームか。
………ヒーローネーム。近いうちに決めなければならないそれ。いつか世間に飛び出した時に皆に呼ばれる名前。
先輩の話だと職場体験の時に使うらしいし

「どうせ暇なら……今決めるか。」

テレビを消し、ノートとペンを取り出す。さて始めよう。時間はいくらでもあるのだから。

…………
………
……

 思いつくままに名前をノートに書いていき2時間ほど時間が経った。
「うし!これくらいありゃ1個くらいビビッとくる名前あんだろ。さーて選んでみっか」

"スターター"
「名前が個性とダダ被りしてんじゃねぇか。…次!」
文字の上に線を引き次の名前を見る。

"スタートマン"
「ださい。だせえよな?……次!」
文字の上に線を引(ry

"プロシード"
「お、これいい感じかも。」
でもニュースとかで紹介されるときはプロヒーローのプロシードって言われるんだよな。
「呼ばれる時にプロが続くのってなんかあれだな。…次!」
文字の(ry

"発進ヒーロー ブースター"
行け、ブースター!ほのおのきば!!
「俺はほのおタイプじゃねーやい。……次!」
(ry
…………
………
……

「ビビってきたのが一つもないだと!?」
気づいたらノートに書いた名前には全て打ち消し線が引かれていた。
「……書いた時点でビビってこなかったんだったからそらそうなるわな。気づけよ、俺。」
ため息をつきノートを閉じる。少し疲れた。一旦休憩にしよう。
床に寝っ転がって電灯をじっと見つめる。

妥協すりゃいいのかもしれない。そうしたら名前もすぐに決まっていたと思う。
だけどそれは嫌だ。一生使うかもしれねー名前なんだ。どうせつけるなら俺が一番かっこいいと思う名前をつけたい。
この先に何があっても共に歩んでいける。そんな名前を━━━━







夢を見た。昔の夢を。
従兄と共に過ごした幼き頃の思い出を。

「進。お前は種だ。これから成長していく可能性の塊だ。」

「いきなりどしたの?お酒でも飲んだ??」

「残念!酒はこれから飲むとこなんだな、これが。
年の始めにお兄さんからありがたーいお言葉をやろうと思ってな。」

「さーて続き話すぞ。ちゃんと耳かっぽじって聞いとけよ。一度しか言わねーからな。

種って英語でseedって言うんだけどな。頭のsをcに変えると前へ進むって意味のceedっていう語根になるんだよ。
語根が何かって?語根ってのは単語のパーツでよ。それらが合わさって単語ってのはできてんだとよ。詳しいことはググって調べとけ。」

「何が言いたいかっていうとだな。シードって言葉はお前にぴったりじゃねぇか、進。
『未来へ進んでいく可能性の塊』って意味になるんだぜ。
名は体を表すもんだ。だからよ、何か壁にぶつかったらこの言葉思い出せ。
お前はシードだ。何があっても越えていく可能性の塊だ。
だからお前にできないことはないってな。」

「うん、わかった!!」





「……んぁ。いつのまにか寝ちまってたか。にしても懐かしい夢みたなぁ。」

「可能性の塊ねぇ。……今の俺は道決めちまったからあとはこの道を進んでいくだけなんだが。
決めたのならあとは真っ直ぐ進んでいきてぇよな、何があっても力強く前へよ」
語根。単語のパーツ。…………あ、これだ。なんかビビッときたぞ。

「えーっと力強くって意味の単語はっと」
ガバリと起き上がり単語を一つ調べる。
そしてそれをノートに書きだしその隣にceedを書き繋げて声を出して読んでみる。

「ビガーシード 」

「うん。これだ。これにしよう。」
そのヒーローネームは二つの願いを込めたもの。二つの決意を込めたもの。

未来へと力強く進めるように。vigorceed
誰かが前へと進むための力の源となれるように。vigorseed

「ビガーシード。これが俺のヒーローネームだ!」

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